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青春18きっぷ

In : 四国遍路について, 結願後, Posted by 田原笠山 on 2009/07/20

青春18きっぷが今日7月20日から利用できますね。これを利用して遍路をする人も多いのではないかと思います。11500円で5日間JR普通列車が乗り放題ですから、四国へのアプローチにこれを使うと格安で往復できるということになりますし、使用期間が9月10日までの53日間という歩き遍路の行程にちょうどいい長さなので、今週から四国へ入る人も多いのだろうと思っています。特に学生さんはこの時期に回る人が多いのかもしれないですね。

ボクもよく利用します。18きっぷで帰省したこともあります。長時間電車に乗るのが苦痛という人も多いようですが、ボクはそんなに苦痛に思わないのです。集中して本を読むことが出来たり、車窓を眺めるのもあきないですし、途中で野宿することになったとしても、始発までの5時間とか6時間は楽しかったり…。鉄道ファンではないのですが、電車に乗るのは好きです。

その18きっぷで四国に入るのは岡山から高松、乗り換えて一番札所霊山寺のある板東駅に向かうことになります。

18きっぷの特性上、1日の乗車距離を長くしたいと思う人が多いのでしょうし、そうなると出発駅を始発に乗って、目的地までその日のうちに着いて使用する切符を1枚で抑えたいと思うのでしょうね。坂東まで1日で着く距離ではない人は2枚を使ってゆっくりと四国上陸ということになるのでしょうけれど。

さて、そうなると切符を入鋏した日に坂東に着くためには
【岡山】
20:42発:JR瀬戸大橋線下り 快速 マリンライナー63
【高松(香川)】
21:36着
21:39発:JR高徳線下り 普通 
【板東】
23:10着

ということになります。20時42分に間に合うように岡山に到着していなければならないということです。東京からですと東京駅を朝出発すれば間に合うようですね。九州だと熊本、延岡あたりが当日着が可能のようですけれど。

真夜中に坂東駅に着いて駅のベンチや霊山寺周辺で朝を待つというよりも、岡山や高松で始発を待って一番札所に向かうというのが良いようにも思います。ボクはそうしました。岡山駅で一泊して、始発で四国に入りました。

【岡山】
05:28発:JR瀬戸大橋線下り 快速 マリンライナー1
【高松(香川)】
06:32着
06:38発:JR高徳線下り 普通 
【板東】
08:48着

というルートで霊山寺に…、が、ボクの場合は「板野」を「坂東」と間違えて、手前の板野駅で降りたのですけれど。(詳しくは「板野駅、板東駅、痛い間違い(1日目の1)」をご覧下さい)

岡山駅泊にしたのは、いつも利用している安心感があったことです。知らない街に夜中に入って寝る場所を探し眠れない夜を過ごすよりは、少しでも睡眠を取って初日を迎えたいと思ったのと、その日がちょうど仏滅で四国へは日付が変わって大安になってから、という縁起をかついだということもあるのですが。

とにかく、不安でしたら宿に宿泊するなり、岡山駅近くのネットカフェに泊まるなんてことのほうが良いように思います。初日はとにかく疲れますからね。眠れない日が続くと、遍路どころではなくなって冥土に行くことになりかねませんから。特に暑い夏には。

嫌な思いや辛いこと、苦しいことは、そのうちたっぷりと経験するでしょうから、せめて前夜、当日の朝は気持ちよく、と思っています。

電車の中で遍路道具一式

電車の中で遍路道具一式



さよなら石鎚温泉(36日目の4)

In : 36日目, 菩提の道場, Posted by 田原笠山 on 2008/11/23

前神寺を17時に出発したボクはすぐ近くにある石鎚温泉に行った。宿泊もできる温泉施設だ。温泉に入った。そしてそこで夕食を食べた。

実はこの温泉には約1月半後の翌年1月に青春18きっぷで行った。その時は前日に高松、徳島、牟岐駅下車、内妻海岸でテント泊、そして翌日善光寺、石鎚温泉に入って、そして西条からムーンライト松山で岡山という旅をした。ボクにとっては想い出の場所だった。

だったというのは、実は2月に閉店したそうなのだ。ボクも知らなくて、先日石鎚温泉のサイトを見たら「平成21年2月4日をもちまして、閉店致しました。」とあった。http://www.ishizuchi-spa.net/

ちょうどボクが行ってから1か月後のこと。そんな感じはしなくて、賑わっているように思っていたのだけれど。なんだか寂しい気持ちでいっぱいになる。

久しぶりの生、魚だけれど

久しぶりの生、魚だけれど

話は戻って、その石鎚温泉ではにぎり寿司うどん定食を食べた。835円だった。(こういう安さが経営を圧迫したのだろうか、と考えている)18時30分に温泉を出て、少し戻ったところにあるJR石鎚山駅に行った。小さな無人駅だった。近くにラブホテルがある。

駅に着くとボクはベンチに腰を下ろした。しばらくすると電車が着いて、遍路がひとり降りた。「こんにちは」とお互いに挨拶した。そして30代前半だろう男は「石鎚温泉は近くですよね」と訊ねてきたので「ええ、すぐですよ、ボクも今入ってきたところです」と言った。「そうですか、ここにお泊りになりますか」と訊いてきたので「はい、そのつもりです」と言った。すると彼は「ボクも泊まろうかなあ」と言って「その前に温泉に行ってきます」と言った。

ボクはその時に金剛杖がないことに気付いた。「あ、温泉に忘れてる」と思い出して。「ボクも一緒に行きますよ。杖忘れて」と言って、二人並んで歩いて行った。そしてボクはまた駅に戻ってきた。

21時過ぎに彼はやって来た。電車の時刻表を見ながら、「やっぱり今晩はここに泊まります。明日の朝一番で伊予小松に行って61番から打ち始めます」と言った。少し話した。彼はその年の2月から区切り打ちをしているということだった。2月からだから、もうそろそろ1年という時間が過ぎようとしていた。1年間通して遍路を出来たことは通しで50日間というひとつの季節だけを見るということよりは、4倍の経験をしたのではないか、ということを話した。

そして今回はその日に六十番から石鎚山に参拝して、翌日4つの札所を巡わって帰宅するということだった。仕事をしながら、連休があると四国まで来て巡拝する。難しいことだろうと思った。

彼は石鎚温泉で食事とお酒を飲んだらしくて、かなり眠そうな目をしていた。22時少し過ぎたあたりに「寝ます」と言って寝てしまった。ボクも目を閉じた。

23時ごろになったら二人連れの若い遍路がやって来た。ベンチは1台残っていた。「こんばんは」と静かに挨拶をした。ひとりは女の子だった。その22、3歳と思われる女の子がベンチに寝て、男の子は床にマットを敷いて寝た。どちらも軽装だった。もう限界という感じの装備だった。寒そうに男の子は丸まっていた。

そのすぐ後に、もう1人やって来た。石鎚温泉にいた遍路だった。ベンチも場所もないことを確認すると、近くの軒下にテントを張った。(朝分かったことなんだけれど)

みんな起きていたのかもしれない。その日は全員横峰の山を登って、そして下りて来たのだから疲れていた。そして温泉に入ったところで、筋肉も感覚も弛緩してしまったのだろう脱力感に支配されていたのだろうと思う。ボクもそうだった。そして多くの遍路が石鎚温泉に浸かって、疲れを癒したのだろう。もう数え切れないほどの人たちが。

しばらくすると雨の音が聞こえてきた。ついていると思った。同宿4人。いしづちやまの駅は満員だった。石鹸の匂いと温泉の香りが充満していた。女の子の香水の香りかもしれなかったけれど…。

幅50センチのマットより狭いベンチがこの日のベッド

幅50センチのマットより狭いベンチがこの日のベッド

西条市丹原町久妙寺、丹原総合公園~西条市西田甲
JRいしづちやま駅泊

(出費)
・ファミリーマート小松大頭店
あんまん 105円
肉まん 105円
スナックパン(8) 179円
カロリーメイト 105円
ビッグソーセージ 116円
(小計 610円)

・石鎚温泉
入湯券 450円
にぎり寿司うどんセット 835円

・自動販売機
缶コーヒー×2 240円
スポーツドリンク 150円
ミルクティー 120円

(合計 2405円)



エコノミスト氏の不思議な荷物(33日目の4)

In : 33日目, 菩提の道場, Posted by 田原笠山 on 2008/11/20

その男はボクの顔をジッと見つめていた。ボクは驚いたのだけれど、いったい彼が何をしているのか分からなかったし、何をしたいのかも分からなかった。

「手を握らせてください」と男は言った。いったい何があるのだろうかと思ったのだけれど、ボクは寝袋の中から手を出して彼のリクエストに応えた。とても冷たい手だった。その二つの手でボクの右手を握り締めていた。そして「暖かいですね」と言った。なるほど、あまりにも寒くて何か暖かいものを探していたのだろう、と思った。そして「ありがとうございます」と手を離した。

暖かそうなポスター

暖かそうなポスター

男は一睡もしてなくて、ブツブツと呟きながら足踏みをしたり身体を小刻みに動かしていた。そして待合室に貼ってあるポスター「高知キャンドルフェア」の蝋燭の炎の写真に手をかざしていた。暖かく感じるのだろうか、とボクは寝たふりをして見ていた。動くことで体温と精神のバランスを保っているのだろうと思った。

しばらくすると男がまたそばに来て「経済は興味がありますか」と訊いてきた。「ケインズとか竹中さんとかなら知っているけれど」と答えた。「ああ、そうですか。ボクは専門が経済なもんで」と広辞苑ほどの厚さの経済書を見せてくれた。彼の少ない装備のほとんどがその本だった。それから少し経済の話をしていたのだけれど、ボクが興味がなさそうなのが分かったのか、深夜に迷惑だと思ったのか、「すみません」と言って、またブツブツを動き回っていた。

それから手紙のようなものを荷物から出して、小さく破いてゴミ箱に捨てていた。ボクはウトウトだけしか出来ずに5時少し前に起き上がった。そしてココアを自動販売機で買って飲んだ。エコノミスト氏も缶コーヒーを買って飲んでいた。

「おはようございます」と言った。「おはようございます」と応えてくれた。そして「始発で今治に向かいますから」と言った。「ああ、電車だと暖かいし早いね」とボクが言うと「そうですねえ」と言って、ボクの座っていたベンチの近くに一冊の本を置いた。「経済学入門」というようなタイトルだった。ボクに読めということなのだろうか、それとも荷物の整理をしてそれが邪魔になったのだろうかと考えたのだけれど、何も聞かなかった。

ボクは出発の準備を始めた。そして6時になったところでエコノミスト氏はホームに行った。「お気をつけて」と挨拶をした。ボクも立ち上がった。しばらくすると電車が入ってきた。ボクのほうが少しだけ早く駅を後にした。電車ももうすぐ出発するはずだった。「経済学入門」は、きっとゴミとして扱われてしまうのだろうと思った。

エコノミスト氏の恩返しなのだろうか、とも考えた。ボクにはその本を持ち歩くことがとても非経済的に思えた。そして彼の行動も経済学とはかけ離れているようにも感じた。それを本人が一番分かっているのかもしれないとも思った。

悩みや苦しみが彼を「遍路」という彼のスタイルの遍路にさせたのだろうと考えた。経済ではなくて政治を学んだほうが良かったのかもしれないと思った。いや、うまく立ち回れない人はどうやってもうまく生きられないのかもしれないと思った。学問は、利用できる者の側にしかつかない。それは宗教や信仰も同じことなのかもしれないと考えていた。

完全な寝不足だった。ボクは鎮痛剤を飲んだ。

そしてひとりは電車に乗って、もうひとりは歩いて浅海駅をあとにした

そしてひとりは電車に乗って、もうひとりは歩いて浅海駅をあとにした

松山市日尾公園~松山市浅海
JR予讃線浅海駅泊

(出費)
・ファミリーマート南久米店
ミックスサンド 230円
ホットゆず 130円
(小計 360円)

・ローソン北条中須賀店
牛丼 398円
とっておきレーズンバターロール6P 190円
(小計 588円)

・自動販売機
缶コーヒー×2 240円
ミルクティー 120円
ホットゆずれもん 130円

(合計 1438円)