Tags: 戸川公園

モラル(37日目の3)

In : 37日目, 菩提の道場, Posted by 田原笠山 on 2008/11/24

戸川公園での宿泊が禁止されたのは、ある遍路が地元の子供に買い物を頼んだということが原因ということを後で聞いた。子供に命令したのか、同意してのことだったのかは分からないのだけれど、そういうことはこの国では受け入れられないと思う。

例えばインドやアフリカなどではそういうことはよくあるし、子供のアルバイトとしてバスや列車の席取り、チケット購入時の並び役なんてことをやっている。ボクも利用したことがある。成功したら報酬としていくらかのお金を支払う。

貧困家庭では子供も貴重な労働力なのだ。住み込みで雑用をしながら学校に行っていた中学生もいた。月収500円とかで数軒をかけもち。それでも寝る場所と食事があるので、それでも満足していた。

「お遍路さんへ」という臨時トイレ。こういったトイレ車両があるとは知らなかった。ちなみに名古屋ナンバーでした。企業名は失念。

「お遍路さんへ」という臨時トイレ。こういったトイレ車両があるとは知らなかった。ちなみに名古屋ナンバーでした。企業名は失念。

そういうことを考えていた。きっと、地元の子供を使った遍路も、そんな経験があったのかもしれない。そしてボクたちのように疲れ果てて公園にたどり着いて、食料もなかったら、ついつい「ちょっとコンビニまで行ってきてくれるか。100円やるから」なんて言ってしまうかもしれない。

そういう例は珍しいことのように思えた。野宿禁止になる一番の理由はゴミや糞便の問題だろう。それに火事の心配もあるだろう。ボクが火気を持って行かなかったのはそういう理由からだ。秋から冬にかけて一番乾燥する時期ということも考えた。火事を起さないという確証はないのだから。周辺住民の皆さんに不快感を与えたくないと、ほとんどの人は思っているだろう。それでも、金銭的な理由などから自炊せざるをえなくなる。中にはそれを修行として行っている者もいるだろうし。

糞便の問題も我慢できなかったのだろう。ただ、後始末は出来るだろうから、それは言い訳にはならないと思う。

そのような先達のために、施設が利用できなくなる、ということよりも、四国の人々と遍路との関係が悪くなるというのが一番懸念されることなのだけれど。

「取っていいのは写真だけ、残していいのは足跡(想い出)だけ」ということだろうと思う。「遍路10人より観光客1人のほうが四国の経済にはありがたい」なんてことを思っている人もいて、確かに札所とコンビニにしかお金を落とさないボクのような遍路は、公園で使ったトイレや水道代にもならないのだから、歩かせてもらっているという意識はいつも持っていないと、と思っている。

三好市大宗谷(おおそだに)バス停そばの地蔵尊にて

三好市大宗谷(おおそだに)バス停そばの地蔵尊にて

西条市石鎚山駅~四国中央市柱尾 戸川公園
戸川公園東屋泊

(出費)
・サンクス西条州之内店
ナビスコチップスター 113円
おーいお茶ホット 137円
おにぎり昆布 115円
おにぎりかつお 115円
ブラックサンダー 31円
(小計 511円)

・ローソン新居浜大生院店
ビックソーセージ2本 210円
おにぎり辛子高菜 110円
おにぎりカツオ 105円
(小計 425円)

・デイリーヤマザキ舟木店
肉まん×2 210円

・ファミリーマート寒川西店
ずっしりつぶあん 116円
Fチョコチップ(8) 176円
プロテインバーチョコ 137円
カロリーメイト 105円
スニッカーズ 120円
ビッグソーセージ 116円
ブルガリア飲むヨーグルト 110円
(小計 883円)

・自動販売機
缶コーヒー×2 240円
ミルクティー 120円

(合計 2389円)

[四国遍路] ブログ村キーワード



冬装備、猫カイロ(37日目の2)

In : 37日目, 菩提の道場, Posted by 田原笠山 on 2008/11/24

延命寺を13時10分に出発した。雨はもうほとんど降っていなかったし、晴れ間も見えていた。それでも風景はまだ雨の中にあった。

延命寺前から遍路道を通り、国道11号線に出たところでそのまま国道を歩いた。遍路道はその国道に沿って続いている旧道、そして松山自動車道と平行して走っている道路がもうひとつの遍路みちだ。その2本が四国中央市、伊予三島の三島公園で繋がる。ボクは伊予寒川のまで11号線を歩いて、ファミリーマート寒川西店に寄った。15時05分。2時間ちかく歩き続けた。天気が良くなると湿気が身体にまとわりついて汗となっていた。

ファミリーマートから旧道に入り寒川小学校、寒川郵便局を通る県道126号線を歩く。ひよけ大師経由でAコープに進む遍路道を通り自動車道の高架下を抜けた。三島公園、そしてその先にある戸川公園に着いたのは17時00分、もうそこまで夜はやってきていた。

戸川公園の東屋を見つけるとそこに向かった。ひとり、遍路がすでに座っていた。そして「こんにちは」とどちらからとはなく挨拶をする。見るとまだ若い青年遍路だった。「雨上がって良かったね」と言った。「そうですね、ほんと道がぬかるんでいてどうなるかと思いました」「って、どこから?」「あ、ぼく、逆打ちで、今日は雲辺寺から来ました」「そうなんだ、山をふたつ越えたってことか。大変だったね」と話をした。

伊予三島、戸川公園

伊予三島、戸川公園

「ここは野宿禁止らしいんですよ」と青年が言った。「その先に看板が立っていて書いてました」と続けた。「え、そうなんだ、どうするかなあ」と少し考えたけれど「ひと晩お願いするか」とボクが言うと「そうですね、もう動けないし」と青年が言った。

青年は食料を持ってないらしくて、近くのコンビニまで行く体力もないということだった。ボクは寒川のファミマで買い物をしていたので、十分ではないにしろ持っていたのだけれど、明日の三角寺、椿堂という山越えに必要だった。

青年はそこから2キロ先のコンビニがとても遠くに思えたのだろう。そして戻ってきて、さらに同じ方向に明日向かうとなると、6キロの行程が無駄になる。そういう気持ちも分かっていた。ボクはピーナツを一袋接待した。「これで500キロカロリーだから、そこの自販機で缶コーヒー飲めばひと晩は大丈夫だよ」と言って渡した。青年は何度も頭を下げた。それからボクはチョコッチプパン8個入りとプロテインバー1個を、青年はムシャムシャとピーナッツを食べて夕食を終えた。

猫が1匹いた。青年はその猫を「今夜のカイロが来ました」と撫でていた。その通り、その猫は一晩中彼の寝袋の中にいたようだった。夏用の寝袋だったので、どこかで買おうと思っていると話していた。まだ始まったばかりの彼の旅の装備にしては、すこしばかり軽いように感じた。これから本格的な寒波がやってくるのだから。

18時30分までは憶えていた。それからどちらとも疲労困憊していたのだろう、いつの間にか眠りに落ちていた。それでも何度か目がさめたのだけれど、静かな公園の夜と1人ではないという安心感からか、いつもよりは熟睡できた。

三角寺への遍路道から見える伊予三島、三島川之江港

三角寺への遍路道から見える伊予三島、三島川之江港