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車に乗った歩き遍路(14日目の3)

In : 14日目, 修行の道場, Posted by 田原笠山 on 2008/11/01

13時少し前に三十一番札所竹林寺に着いた。
高須側からの遍路道は植物園のほうを登ってゆく。暖かい日だったので、坂道で汗をかいた。五台山公園には家族連れが多く来ていた。週末はどうも歩きにくい。人も車も多くなる。

13時40分発。五台山小学校側に下りる。14時。竹林寺~禅師峰寺~高知駅~雪渓寺というルートにしようかと迷っていた。それどころか「ユリさんには悪いけれど、またあらためて…」なんて考え始めていた。「どうしようか」と迷い始めた。ホッチキスに電話する。そして、またルートのことでもめた…。

10分ほど川沿いで考える。そして高知市内へ向かった。途中サンクス五台山店で道を尋ねる。高知駅までの大まかなマッピングが頭の中に出来た。だいたいの位置関係も理解出来た。歩いた。そして何度か道を尋ねた。

はりまや橋、そこでまた道を尋ねた。親切に教えて頂いたのだけれど、細かい場所を聞いても分からなかった。そして覚えられるものでもない。「○○町○○番地○○」、とにかく町までの道が分かればよかったし、それからは着いたところで聞くほうが正確だと思った。

そして○○町の近くまで来た。16時30分。あと1時間もすれば夜が忍び寄る。ボクは少し焦っていた。近くの商店に入って尋ねた。「○○番地にはどうやっていけばいいでしょうか」と言うと、親切にもゼンリンの住宅地図を持ってきて下さって、そして探してくれた。

地図上にはユリさんの家があった。まだ少し距離があった。「ありがとうございます」とボクが言い終わらない内に「あ、送っていきますよ」と…。ボクより 10歳ほど若いその店の経営者氏は、そういうともう駐車場のほうへ歩いていた。そして店の前に軽トラを横付けした。ボクは「お願いします。ありがとございます」と言って、荷台にザックを置いた。

「別コース、これは遍路とは違うのだから車に乗っても良いよ」と自分で自分に納得させた。車に乗ったことについて、今も特にどうだということも思っていない。

ボクは、かなり弱っていた。その時は、家を探すこと、道を尋ねることだけしか考えていなかった。例えば哀しみさえも、忘れていたのかもしれない。探すということ、だけが全てだった。

竹林寺にて

竹林寺にて



地図がない(14日目の2)

In : 14日目, 修行の道場, Posted by 田原笠山 on 2008/11/01

10時30分に三十番札所善楽寺を出発した。
JRとさいっく駅を過ぎ、県道44号線下の瀬大橋を渡る。サンピアン高知が見える頃になると都会という感じがした。高知市内が近いことは分かっていた。標識も市内まであと少しということを知らせていた。

善楽寺にて 地蔵ぬいぐるみ

善楽寺にて 地蔵ぬいぐるみ


近いと分かっていたのだけれど、ボクが立っている位置と高知駅、そしてユリさんの家までの関係が分からなかった。へんろみち保存協会発行の地図には高知駅周辺が記載されていなかった。善楽寺~竹林寺~禅師峰寺(ぜんじぶじ)~雪渓寺という遍路道、その周辺しか載っていなかった。

前日、ボクはホッチキスに「どのルートが良いか調べて」とメールをした。ホッチキスからは「禅師峰寺からは○○キロ、竹林寺からは○○キロ、高知駅からは○○キロ、雪渓寺へは○○キロ」という内容で、地図の画像が添付して返信があった。ボクにはどうもピンと来なかった。

ボクは「夕方行くのが良いかなあ」なんてことを考えていて、そうなると「竹林寺を打ち終わってから、高知市内に戻るルートが良いかなあ」という計画を漠然と立てていた。そして竹林寺往復~禅師峰寺~雪渓寺というコースを選択していた。

ユリさんがお酒が強い人だったので、それに高知ということもあって、きっとお酒を勧められるだろうから、夕方行って高知市内に泊まるか、ユリさんちにそのまま、なんてさもしい考えを持っていたのだ。そう言う考えがあったもので、最短距離というよりも、ユリさんちに夕方、という選択をしていた。

2つのルートをホッチキスは提示していた。それは、
(1)善楽寺~竹林寺~高知駅~竹林寺~禅師峰寺~雪渓寺
(2)善楽寺~竹林寺~禅師峰寺~竹林寺~高知駅~雪渓寺

だった。どちらも戻るルートだった。見た感じでは(2)などはかなり長い距離を歩くように感じた。高知市内と禅師峰寺往復を往復するからだ。

そのことでボクたちは(実際はボクが文句ばかりいったのだけれど)もめた。ボクの主張は「どんだけ歩かせるんだよ」というものだった。100メートル、いや1歩でも多く歩きたくはなかった。それに往復ということは、かなり精神的な疲労度を高めるものだった。

そして竹林寺を打ち終わった時点ですでに疲れていたボクは、五台山を下りたところで、また嫌なことをホッチキスに言った。「善楽寺~高知駅の最短ルートを勧めるもんだよ。これだけ違っているんならね、5キロ以上あるだろう」なんて…。そして(2)なんてルートをどうやったら考えつくのかということも言った。

地図を見ていないボクの頭の中では、繰り返しになるのだけれど、(2)のルートが最短距離のルートよりもかなり長いように考えていた。実際には、ボクが思っていたほど長くもなくて、(1)よりは短かったのだけれど。そのことは、今、これを書いているときに調べて分かったことなのだけれど…。その「分かってこと」を黙っていたホッチキスに明日謝っとかなければ…。

結局
(最短)善楽寺~高知駅~竹林寺~禅師峰寺~雪渓寺というルートが24.82Km
(1)善楽寺~竹林寺~高知駅~竹林寺~禅師峰寺~雪渓寺31.21Km
(2)善楽寺~竹林寺~禅師峰寺~高知駅~雪渓寺が30.78Km
正確ではないが、地図ソフトの上ではこういう結果になったし、ボクは(1)のルートで高知駅へ行ったのだ。

11時40分、土佐電鉄文珠通電停近くのスズキミートにてカレーを買う。カレーの匂いに誘われて、ついつい買ってしまった。そして近くの公園で食べた。久しぶりのカレーだった。

そして高知に着いたのだけれど、これからどうなるのだろうか、と考えていた。だいたい住所だけは分かっているのだけれど、行ったこともなければ、電話番号も知らないのだから。そして地図もないし、そのために買おうとも思っていなかった。

スズキミートのカレーは美味しかったなあ

スズキミートのカレーは美味しかったなあ



たどり着いたへんろ小屋の夜(2日目の3)

In : 2日目, 発心の地, Posted by 田原笠山 on 2008/10/20

歩き始めた。17時までに藤井寺に行って…。夕陽が時間を圧迫していた。容赦なかった。ボクは歩いていた。少し早足だった。へんろ道、藤井寺への最後のアプローチは上り坂、そして山道、その時点でタイムアップとなっていた。17時を過ぎた。

「南無大師遍照金剛……、なんだこれは……」とボクは誰に向かうでもなくのろいの言葉を口にしていた。

お寺の駐車場にテントを張らせていただこうかと思ったのだけれど、食料がなかった。夕食もだけれど、明日からの「へんろ転がし」焼山への峠越えにはプラス 2食は必要だった。藤井寺までのへんろ道にはコンビニもスーパーもなかった。少し離れればあったとしても、ボクに余裕がなかった。とにかく藤井寺を打って、それから考えれば良いや、と思っていた。また後悔した、そして焦った。

ボクは歩き始めた。今度は車道を通って国道192号線を目指した。今来た方向に戻り始めたのだ。逆打ち。四国八十八ヶ所を一番札所から順番に巡るのではなくて、逆に巡るのを逆打ちと言うのだけれど、ボクは十一番から十番に、逆打ちするような形になったのだ。

国道に出る頃には全くの夜になっていた。

ローソンに着くと、ボクは3食分を買った。夕食には牛丼を買った。そして駐車場の隅で食べた。涙が出た。「どうしてここで牛丼なんて食べてるのかなあ」「どうして歩いているのかなあ」。

牛丼を食べ終わる。ボクはまだ歩かなければならなかった。その駐車場はその夜のベッドには不向きだったし、迷惑はかけたくなかった。たとえ許されたとしても。

ねぐら。
ボクは更に逆打ちを続けた。あのへんろ小屋が、あのへんろ小屋しかイメージ出来なかった。国道の閉店しているパチンコ屋の軒下を借りようかとも考えたのだけれど、ボクはあの壁のある、そして全ての人から野宿することが認められているへんろ小屋だけが癒しの場所のように思えていた。

迷った。一度通った道なのだけれど、そのへんろ小屋、橋の側の、共産党事務所のあるへんろ小屋…。30分、あるいはもう少しだったのかもしれない。ボクには2時間ほどの時間に感じられたのだけれど、そのへんろ小屋になかなかたどり着けなかった。

歩いて歩いて、そして迷いながらも、なんとか辿り着いた。幸い誰も居なかった。定員1名、そのリバーサイドホテルからの夜景は綺麗だった。もしも、そこに、そのへんろ小屋に先客がいたとしたら、ボクの気持ちもタイムオーバーしたかもしれない、と思った。まだツキはある、とも思った。そういうツキみたいなものは、旅には必要なのかもしれない…。

備え付けの水道でTシャツを洗った。身体を拭いた。顔も洗った。もう動けない、と言うほどに疲れていた。4キロほどを打ち戻った、ということがその疲労度を高めていたように思う。そして明日はまた来た道を戻る。「なにしてんだろうね」と、つぶやいた。

右足かかとに豆が出来ていた。潰して治療をした。身体の痛み、頭痛はまだあった。頭痛薬を飲んだ。寝袋に収まった。もうそうするしかなかった。また少し泣いた。「なにしてんだろうね」口癖になっていた。

川島橋の夜

川島橋の夜


涙で滲んでいるのではなくて、ピンボケしているけれど…。

*六番札所安楽寺~十番札所切幡寺
*吉野川市川島橋へんろ小屋泊

*(出費)
・自動販売機
スポーツドリンク2本 300円
ココア 120円
・ふじや(切幡寺門前、昼食)
月見うどん 500円
・ローソン
カフェラッテ 144円
お茶 126円
スニッカーズ 120円
柿の種 105円
コーンマヨネーズパン 105円
おにぎりかつお 105円
おにぎり日高コンブ 110円
おにぎり梅 2個 210円
牛丼 398円 (小計1423円)

合計 2343円