Tags: テント

モンベルU.L.ドームシェルターについて

In : 装備と携行品, Posted by 田原笠山 on 2009/06/21

1200キロもの距離を歩くのだから、荷物は軽いに越したことはない。と誰もが思うのだけれど、軽いということはそれだけ「薄い」「細い」「小さい」なんていう形容詞で素材もそのもの自体も表現され、そしてそれゆえに「弱い」とか「もろい」なんてことを連想するのだろうと思う。

歩いて野宿する遍路にとってテントは必需品で、その選択に迷う人も多いのだろうと思う。ボクもそうだったのだけれど、やはり軽さを重視するとこれU.L.ドームシェルターになってしまった。

40日以上の行程を野宿するとなると、それなりの耐久性も求められるのだけれど、山岳トレッキングとは違い、軒下あり遍路小屋ありという設営条件が良い状況なので、それほど風や雨に対して神経質になることもないと思っているし、そうだった。

結局、張り綱で固定することもなく、雨による浸水も経験することなかった。結果として、テントではなくてシェルターというカテゴリーのものを選んだことは、間違ってなかったと思っている。

豪雨、豪雪、強風の下で設営するなんてことはないのだから。そういう天候はあったとしても、市街地、あるいは国道沿いには雨風雪を避けられる場所があるのだし、どうしようもなければ宿泊施設だってあるのだから。

また野宿なのだから、テントも予備みたいなもので、その気になればテントなしでも巡礼できるだろうし、それを行っている人もいる。それを考えると、シェルターはお守り程度に考えていたほうがいいだろうし、そうなると持っていても邪魔にならない程度のものが良いのだろうと思う。

U.L.ドームシェルター1型は重量780g。その軽さは本体は15デニールという極細の糸を使っていて、生地はかなり薄いと感じると思う。薄いと感じるのだけれど、張ってテンションがかかった中にいると、あまり薄さは感じないと思う。

U.L.ドームシェルター取り扱い説明書
モンベル | オンラインショップ | U.L.ドームシェルター 1型

薄さは感じないのだけれど、破れやすい。破れてもリップストップナイロンを使用しているので、裂けるということはなくて穴が開くのだけれど。ボクも穴を開けた。設営時にポールがポール受けから外れてしまって、そのまま貫通してしまった。それが2度。

どちらも暗闇での設営だったのと、風が強かったことで、ポール受けに入っていなかったのか外れたのか…。テントの中に入って、中でポールをポール受けにセットして、そのまま湾曲させて対角線上のポール受けに入れるという方法のほうが安全にセットできるように思う。

U.L.ドームシェルターに開いた穴

風が吹いていたりすると、セットしても外れる場合がある。そのあたりのモンベルが改善してくれるとありがたいのだけれど。

インナーポール方式はもうひとつ、ポールに結露が発生しやすく、その結露を拭きにくいということも欠点だと思う。それはしかたない、というレベルのものなのだけれど。

ま、その2点を差し引いても価値あるものだと思う。

それならツェルトでも良いんじゃないかと思うかもしれないけれど、駐車場や軒下での幕営なので自立式じゃないとまた不便になると思う。自立式で軽いもの、となればこれかなあ、なんて思っていますが…。



めじかの里土佐清水(24日目の5)

In : 24日目, 修行の道場, Posted by 田原笠山 on 2008/11/11

「めじか」は、めじか鮭のことではなくて、そうだかつおのことをめじかと高知では呼ぶそうだ。「かじか」と勘違いしていたのだけれど…。
まるそうだ、そうだがつお、めじか /高知県で獲れる水産物
北海道-雄武町ホームページ | 観光 | 特産品 | 鮭 -めじかの話-

道の駅めじかの里土佐清水に着いたのは17時を少し回っていた。おじさんが売店のベンチに座っているのが見えた。そこへ向かった。
「この軒下でテント張っていいって」
「そうですか、よかった」とボクは言った。それからおじさんはガスストーブとケトルを出してお茶を入れてくれた。すこしそんな道具のことやテントの話なんかをした。

しばらくすると辺りは暗くなった。18時に閉まるという売店にゆき寿司と餅を買った。閉店前セールをしていた。そしてベンチに戻って夕食をとった。売店が閉まって、店の人が帰ると、それからテントを張った。同郷二人、並べて張った。

疲れていた。歩行距離は29キロほどだったけれど、朝早かったのと、久しぶりに長距離歩いたせいか、40キロほど歩いた感じがしていた。おじさんもテントに入って、寝る準備をしているようだった。

ボクは洗顔、洗髪をするためにトイレに行った。そしてそれが終わる母親に電話した。この旅に出て初めてだったし、彼女からもかかってはこなかった。翌日は祖父の三十三回忌だった。そのことや巡礼のことを少しだけ話した。

テントに戻って、それから寝袋に収まった。夜、何度か目が覚める。夕立のような雨が2度ほど降った。長い1日だった。

モンベル ULドームシェルター、アライ トレックライズ

モンベル ULドームシェルター、アライ トレックライズ

*津呂善根宿~道の駅めじか土佐清水
*道の駅泊

(出費)
・金剛福寺
手拭い 200円

・足摺荘
朝定食 850円

・土佐清水の薬局
シップ薬 880円

・ほっかほっか亭土佐清水店
のり弁当 360円
焼きそば 180円
おにぎり2個 200円
(小計 740円)

・道の駅めじか
寿司 280円
あん餅 231円
(小計511円)

・自動販売機
缶コーヒー×2 240円
カップコーヒー 100円

合計 3521円



ドライブイン水車の湿っぽい夜だった(22日目の3)

In : 22日目, 修行の道場, Posted by 田原笠山 on 2008/11/09

雨は止んでいたのだけれど、換気の悪い温泉にいるのではないかと思うほど、空気はたっぷりと水分を吸って、底に澱んでいた。

ボクはレストラン水車の駐車場にいた。「ドライブイン」と呼ばれる広い駐車場とトイレをそなえたレストランだった。テントをどこに張るか、あるいは張らないか、考えていると、一人の青年がやって来た。

伊豆田トンネル

伊豆田トンネル


新伊豆田トンネル。長いトンネルは雨の日にはいいけれど、歩くと怖かったり臭かったりで…。

「こんにちは」
「こんにちは」とボクは答えた。そして「雨だね、今日はどこから」とその青年に尋ねた。
「分かりません」
「えっと、じゃあ何日目?」
「それも分かりません」

どこから来たのかということは、ボクも分からない時があった。街を離れると地名を知る術がない場所もあったからだ。それでも、その青年の受け答えは、どこか、なにか違っていて、記憶喪失者とはこういう感じなのかもしれない、とボクは考えていた。

「どうして?」と、何度かためらった言葉を口に出した。
「一度、お金が無くなって、帰ってアルバイトをして、また来たもので…」と、指を折って数え始めたけれど、途中で止めてしまった。
「ああ、なるほど。それじゃあ、何日目かは答えにくいよね」
「はい、それに地図も持ってないもので、どこなのか分からないんです」
「そうか。目印があるから、それを頼りに?」
「そうですね。だから時間もかかって」
「そうだろうね。迷ったりもするだろうし。地図持っていても迷う時あるしね」
「はい、それでも寄り道するのも楽しいです」
「ああ、なるほど、時間はたっぷりあるし?」
「はい、お金はないですけれど。お父さん、旅慣れてる感じしますね」

と、お父さんとボクのことを言った。少し驚いた。考えれば、20歳そこそこの青年にしてみれば、くたびれたオジサンはみんなお父さんなのかもしれないと、思った。そして「そうか?」と、少しお父さんぽく答えた。

「ええ、色々と行かれたんですか?」
「若いときはね」それ以上は話さなかった。

「今日はここですか?」と訊いてきた。
「そうだよ、ここにテントを張ろうかと思って」
「ボクは、向こうのバス停に泊まろうと思っています。テントないんで」
「ああ、バス停のほうが暖かいだろうね。トイレの横にも休憩所があるけれど、あすこは眠れないだろうし」と言った。

「そのデイパックのカバー、手作りなんだ」と言った。
「ええ、ビニール合羽を改造して作りました」
「すごいね」
「いや、全部安もので。肩のところも痛いんで100均でショルダーバッグ用のパットを買って当てているんですよ」と、その改造部分を見せてくれた。

「ああ、若い時は物に頼らない方が良いよ。体力もあるし、それに寄り添って感覚も鋭いだろうから。過信はよくないけれど、そのほうが好感が持てるよ、君みたいにね」と、話した。少し羨ましくもあった。彼の装備でボクが歩いて巡れる自信もなかった。

「じゃあ、失礼します」と彼は国道の方へ歩いて行った。たぶん、彼なりの旅をしている、というか旅自体を模索しているのだろうと思った。

犬の鳴き声がうるさかった。底に澱んでいる空気の上に夜が滲んでいた。

レストラン水車

レストラン水車


浮津海水浴場~土佐清水市レストラン水車
レストラン水車の横の東屋下でテント泊

(出費)
・道の駅 ビオスおおがた 「ひなたや」
日替わり弁当 400円
おむすびセット 250円
お寿司 300円
蒸しパン 200円
(小計 1150円)
#随分買ってしまって、お寿司は夕ご飯に食べた。

・スリーエフ中村竹島店
ピーナッツチョコ 105円
カロリーメイト 210円
バターピーナッツ 105円
スニッカーズ 121円
ブラックサンダー 32円
ポリッピー 105円
自着包帯 336円
(小計 1014円)
#ここで包帯を買って、膝を固定した。

・自動販売機
缶コーヒー×3 360円
スポーツドリンク 150円

合計 2674円



停滞、修行僧登場?(21日目の1)

In : 21日目, 修行の道場, Posted by 田原笠山 on 2008/11/08

雨の朝だった。

キャンプ場からの夜景

キャンプ場からの夜景


6時起床
6時30分、テント撤収。一応テントを片付けた。土曜日だし、なにかイベントがあって、なんてことも考えた。
7時、朝食。昨日買った芋天。

それから、ただ、海を眺めていた。

10時30分、再びテントを張る。
雨で気温が下がっていた。横になりたかった。

11時30分、ピーナッツの昼食。

11時50分、昨日のみかんとチョコレートをいただいた女性が来る。「あら、今日は雨だもんね」

「はい、ここに泊まることが出来てよかったです」
「そうねえ、雨の日は動くのも嫌よね」

なんてことを話した。女性は連れの男性とご飯を食べて、そして何か一生懸命家のことやら仕事のことを話していた。少し気まずい感じがした。テントの外にいたので、中に入るわけにもいかず、ベンチに何もすることなく座っていた。それから目を閉じて、寝たふりをした。それが一番良い方法に思えた。

12時10分、ホームレスのような人登場。
カップ酒と総菜を持ってボクの隣、少し離れたところに座る。「ここはたまに遍路の人がいますよ。この前は青森の人がいました」「このテントは雨漏りしませんか」ということを聞かれるが、「ええ」「そうですか」と上の空で答える。おじさんもそれ以上話を続けなかった。

12時30分、女の人たちが帰ったので、テントにもぐり込む。おじさんはその場所で酒を飲んでいた。

12時50分、そのおじさんもいなくなる。いつも来るのだろう、それがゴミ箱だとは分からなかった一斗缶の中にゴミを捨ててどこかへ行ってしまった。「ホームレスなんだろうか」とボクはその修行僧のような風体のおじさんのことを考えていた。修行僧のような、というのもおかしな話だけれど。

13時、カロリーメイト2袋を食べる。少し頭痛、薬を飲む。

そして眠った。

雨のキャンプ場とシェルター

雨のキャンプ場とシェルター



野生の朝(13日目の1)

In : 13日目, 修行の道場, Posted by 田原笠山 on 2008/10/31

漁師町の朝は早い…。
というか、公園や海岸など寝られる場所の朝は、犬の散歩(なのか人の散歩なのか)の人たちで、一日が始まる。その気配や声で目ざめる時もあった。あるいは深夜、え、こんな時間になんていう1時とか2時に、犬の散歩をする人たちもいて、驚かされる。それはきっと散歩の人たちも同じで、驚くこともあるのだうと思った。「え、こんなところに人が…」と。

安芸市の海岸の朝も犬の声で目が覚めた。しばらくすると、うっすらと水平線が朱色に染まり始めた。6時前起床。テントをたたむ。海岸での宿営は片付けるのが大変だ。結露で濡れた部分に砂が付く。グランドシートは海岸の湿気で濡れている。そこに砂が付着する。小さくたたみ込むので湿気たまま次の出番を待つことになる。重量も1割増しといった感じがした。

6時30分出発。
ローソン安芸津久茂店で朝食を買う。この日の朝食はおにぎり3個。安芸市営球場が見える。少し戻って近くの公衆トイレで洗顔、洗髪もした。ついでにTシャツも洗濯した。多目的トイレに入って行ったのだけれど、どうも落ち着かない。後ろめたさはいつもあった。それでも身体を拭いたりするのには、あの空間は最適だった。

途中、あかの駅とわじき駅の間、わじき駅の先だっただろうか、琴ヶ浜では、地引き網漁をしばらく見ていた。鳶がその漁の分け前に求めて群がっていた。その奥の松林はきっと彼らのサンクチュアリになっているのだろう、100羽ほどのが浜にいた。鷲敷、あれは鷲だったのだろうか、いや、あれだけの鷲がいるはずもなく、鳶だったのだろう。鳶敷…。

海水健康プールの所でもう一度休憩。プールに来た3人組の女性と挨拶を交わす。太陽は隠れてしまっていた。嫌な感じの雲が空を覆っていた。雨の予感がした。

途中、西分駅の所に遍路小屋あり。「宿泊可、食事は西分駅の店で、トイレは駅にあります」という看板あり。「ありがたいね」なんて思って通り過ぎる。国道に出てサンクス芸西店にて救急絆創膏を買う。踵の豆が大きくなっていたんだ。ついでにスニッカーズも買う。駐車場で絆創膏を貼り直して、スニッカーズを食べる。痛い。

歩いていた。
少し行ったところにある(地図には記載されていないのだけれど)介護施設には接待所があって、自動の給湯器があって。ほうじ茶をいただく。このあたりには接待所が多い。そう言えば、サンクス芸西店の店員さんも親切だった。とても些細なことなのだけれど、例えばひと言が、「がんばって下さいね」というひと言が、胸にしみる。時には涙になった。

琴ヶ浜の接待所
琴ヶ浜の接待所。一瞬驚いたよ。