Tags: キャンプ場

同郷二人(24日目の4)

In : 24日目, 修行の道場, Posted by 田原笠山 on 2008/11/11

その男性と会ったのは国道321号線落窪から下益野への途中、坂道を登りきったあたりの道路わきだった。ボクはその坂を登ったところでかなり疲れていた。もう12時間近く行動していたし、夕方が近くなるとどうしても歩行が早くなる癖があったので、夕方の長い登り坂はボクの何もかもに止めを刺してしまっていた。膝も痛んでいた。

遠く沖ノ島

遠く沖ノ島


その道路わきの奥に広がっている空き地にテントを張ろうかとも考えていた。水はなかったのだけれど、とりあえず食料はあった。少し休んでいると冷えてきたのでザックからフリースを取り出して着ている時に坂道を登ってきたのがそのおじさんだった。

「こんにちは」と言った。
「こんにちは」

ふつうならそこで終わるというがほとんどだった。相手は自転車遍路だったし、ねぐらを決めなければならない時間が押し迫っていた。野宿遍路たちにとって一番忙しい時間帯だった。ねぐらにたどり着いたていたとしても、食事やら洗濯やらで忙しいのは変わりない。

「どこまでですか」とボクが聞いた。
「その先の道の駅か、その先のキャンプ場に」
「じゃあ、もう少しですね。自転車だと20分とかですか?」
と話始めたら、おじさんも本格的に休憩体制にはって、しばらく話した。そして「愛知から来たんですよ」と言ったので「ああ、ボクもちょっと前まで住んでましたよ」と地元の話をした。そうなると、他人でもない感じになってくる。

「じゃあ、ボクも道の駅に行きますから」
「ああ、先に行ってるよ」と、その場は別れた。

同郷二人。
同郷ではないけれど、地理的に分かるところの人と会うのは懐かしいし、落ち着く。後に石鎚駅で同郷の女の子に会うのだけれど、その子は言葉で分かった。「九州だよね」「はい」「あのあたりだよね」「ええ、分かりますか」なんてこともあった。

16時を過ぎていた。歩き始めた。途中、向こうからやってきたお姉さんに大きいふかし芋を頂いた。「お遍路さん」とすれ違いざまに言われて「これ」なんて差し出された。綺麗な人だと、ちょっと驚く。というか、すれ違いに言われると「ドッキ」っとする。

あと3キロ。明るいうちに着きたいと思った。少しまた急いだ。寒くなって着たフリースが邪魔になってきた。

土佐清水の桜

土佐清水の桜


土佐清水、かまど屋近くの公園には桜も咲いていたよ。



停滞、修行僧登場?(21日目の1)

In : 21日目, 修行の道場, Posted by 田原笠山 on 2008/11/08

雨の朝だった。

キャンプ場からの夜景

キャンプ場からの夜景


6時起床
6時30分、テント撤収。一応テントを片付けた。土曜日だし、なにかイベントがあって、なんてことも考えた。
7時、朝食。昨日買った芋天。

それから、ただ、海を眺めていた。

10時30分、再びテントを張る。
雨で気温が下がっていた。横になりたかった。

11時30分、ピーナッツの昼食。

11時50分、昨日のみかんとチョコレートをいただいた女性が来る。「あら、今日は雨だもんね」

「はい、ここに泊まることが出来てよかったです」
「そうねえ、雨の日は動くのも嫌よね」

なんてことを話した。女性は連れの男性とご飯を食べて、そして何か一生懸命家のことやら仕事のことを話していた。少し気まずい感じがした。テントの外にいたので、中に入るわけにもいかず、ベンチに何もすることなく座っていた。それから目を閉じて、寝たふりをした。それが一番良い方法に思えた。

12時10分、ホームレスのような人登場。
カップ酒と総菜を持ってボクの隣、少し離れたところに座る。「ここはたまに遍路の人がいますよ。この前は青森の人がいました」「このテントは雨漏りしませんか」ということを聞かれるが、「ええ」「そうですか」と上の空で答える。おじさんもそれ以上話を続けなかった。

12時30分、女の人たちが帰ったので、テントにもぐり込む。おじさんはその場所で酒を飲んでいた。

12時50分、そのおじさんもいなくなる。いつも来るのだろう、それがゴミ箱だとは分からなかった一斗缶の中にゴミを捨ててどこかへ行ってしまった。「ホームレスなんだろうか」とボクはその修行僧のような風体のおじさんのことを考えていた。修行僧のような、というのもおかしな話だけれど。

13時、カロリーメイト2袋を食べる。少し頭痛、薬を飲む。

そして眠った。

雨のキャンプ場とシェルター

雨のキャンプ場とシェルター



浮津海水浴場の夜(20日目の3)

In : 20日目, 修行の道場, Posted by 田原笠山 on 2008/11/07

その日は暖かかった。秋、晩秋の海も暖かく見えたし、陽気に踊っているようにも思えた。

何もしないまま時間だけが過ぎた。停滞すると決めたら気持ちは少し軽くなった。それでも、天気の良い日に座って海を見ている遍路、その自分に罪悪感を憶えたりもした。それでも時間は確実に流れてゆく。時として全てを取り残してまでも…。

15時になって、ここに泊まることの許可を取らないと、と思い始めた。ちょうど女の人が向こうの道路に見えたので、急いで、そして足の痛みを隠して、「すみません」と近づいていった。

「あの~、ここを管理されている方は、どちらにお住まいなのでしょうか」
「ああ区長さんね、どうしました」
「ここに泊まらせていただきたいと思いまして、代金とかお支払いしたいので…」
「それなら、わたし行って話してくるから、ちょっと待っていればいいわよ」
「あ、そうですか、すみません、遠いのですか」
「ええ、すこしあるからね」
「お願いします」

というような話をしてその奥さんは行ってしまった。

1時間ほどして戻ってきた。
「どうぞお泊まりになって下さい、とのことでしたから」
「お金は」
「お遍路さんからはもらえない、って区長さん言ってましたよ。それにシーズンでもないし」
「ありがとうございます」

と、すこしボクのことやら、これまでの旅のことやらを10分ほど話して、その奥さんは帰って行った。

夕陽が綺麗だった。
そしてなんだか涙が流れてきた。

ボクは海の家の前にテントを張った。屋根が着いている場所だった。これで雨が降っても大丈夫だな、と思った。

17時 日替わり弁当、搗き餅2個の夕食。
何もない夜。寝ているのか寝ていないのか分からない夜。波音の夜。そして哀しみの夜。

浮津海水浴場の夕方向こうが道の駅

浮津海水浴場キャンプ場の夕方 向こうが道の駅

*ホテル海坊主~浮津海水浴場
*浮津海水浴場キャンプ場

(出費)
・道の駅 ビオスおおがた
日替わり弁当 400円
古代米おにぎりセット 250円
芋天 150円
搗き餅4個 200円
(小計 1000円)

・自動販売機
カップコーヒー 100円

合計 1100円