文明の速さとか弱さとかを考えた長い1日は内妻海岸で終わった(8日目の4)

In : 8日目, 発心の地, Posted by 田原笠山 on 2008/10/26

少し後悔していた。
日和佐のどさんこラーメンを15時過ぎに出たボクは、次の24番札所最御崎寺に向かった。向かったと言っても、約80キロメートル先、歩いて2泊3日の道のりだった。「車で1時間30分」、それが人類が抗いきれない文明の力だった。その力の差、そこが欲望となる、そして希求する。
へんろセンターの看板

国道55号線を歩いていた。国道を少し外れてJR牟岐線やまがわち駅に寄った。駅泊も頭の隅にあったしトイレにも行きたかった。駅舎はなくて、そのままホームにトイレがあった。そしてボクはホームのベンチに座った。「ここじゃ泊まれないか」と独りごちた。夜はそこまでやって来ていた。

歩いていた。駅から国道に戻って、先を急いだ。急いでいたのだけれど、どこへ行くかは決まっていなかった。1時間ほど歩いてコインスナックがあった。そこも寝場所には適してなかった。もう18時を過ぎていた。少し休憩した。

その先を左折してJRへがわ駅に向かった。分かりにくい位置にその駅はあった。少し迷った。街頭の少ない地域だった。暗闇がボクを疲れさせた。気分が滅入った。駅にはなんとか辿り着いたのだけれど、そこも待合室のない駅だったし、あたりに眠れるような場所もなかった。

ボクは来た道を戻って国道に出た。そして歩いた。歩くことしか出来なかった。国道沿いの空き地に眠ろうかと考えたのだけれど、お昼過ぎまで降り続いていた雨が場所を限定していた。

牟岐駅に着いたのは19時30分だった。待合室のある眠れそうな駅だった。ボクはそこで荷物を下ろしてサンクス日和佐店で買った鳥飯むすび3個入りとおにぎり鮭しょうゆ、ピーナッツチョコを食べた。釘打ヘンロ小屋を出発して12時間が過ぎていた。雨の後の少し湿った空気が夜に冷やされて更に重くなりまとわりついていた。それはボクにとって、とても嫌な感じだった。そこでは落ち着けなくなっていた。

人と場所の関係は、人と人のそれよりも難しい。そう思う。

20時40分、牟岐駅出発。ボクはヘッドライトを左手に持ち、金剛杖を右手に持って歩いていた。金剛杖が、邪魔だった。菅笠も、夜には不要のものになった。

海岸が見えた、というか、海岸線を歩いていた。内妻大橋の下の海岸に降りた。そして座った。もう歩く気力はなかった。テントを張ることも迷ったのだけれど、なんとかそれはやってのけた。やってのけたのだけれど、テントに穴を開けてしまった。軽量と引き替えに使われていた15デニールという薄い生地のキャノピーは、破れやすいという弱さがあった。その弱さも文明だった。考えられないような薄さ、僅か800グラムという自立式シェルターだった。

ボクはテントを設営すると、ザックからシュラフを引っ張り出した。マットに空気を入れて膨らまし、シュラフの下に敷いた。もぐり込み、そして、そのまま寝た。やっと1日が終わった。

内妻海岸にて
内妻海岸にて

*ヘンロ小屋釘打~内妻海岸
*内妻大橋下の海岸泊

(出費)
・サンクス日和佐店
ランチパック ツナマヨネーズ 163円
イナバ バターピーナッツ 105円
ピーナッツチョコ 105円
ニッスイ ジャンボソーセージ 113円
おにぎり 鮭しょうゆ 126円
鳥めしむすび3個入り 190円
カロリーメイト 210円
ウェットティッシュ 135円
(小計 1147円)

・どさんこラーメン日和佐店
カルビ丼セット 650円

・自動販売機
缶コーヒー2本 240円
スポーツドリンク 150円

合計 2187円

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